0:知的財産管理技能士会がこんなツイートを
先日、Twitterで、知的財産管理技能士会のアカウントがこんなつぶやきをしていました。
そのために!
— 知的財産管理技能士会 (@ip_ginoushikai) 2023年7月10日
この!
「知的財産管理技能士会」があります!🙌
と言うことがまさにわたしの役割なのですが、知財技能士の皆さんにも聞いたほうがいろいろとアイディアが集まりそうですね。
皆さんは普段どんな方法で知財の学習・情報収集をしていますか? https://t.co/WEd3xybdmq
これそのうちブログで書こう… https://t.co/Bc8bf3GoFO
— オオスキ トモコ (@cafe_petit) 2023年7月22日
「著作権(知財)って、どうやって勉強すればいいのか」は、結構、実際にも聞かれるので、せっかくなので、これを機に私の情報収集の方法・学習法をまとめることにしました。
ちなみに私は三級知的財産管理技能士ですが、イラストレーターなので、仕事で関係するのがほぼ著作権領域で、特許・意匠・商標の領域は実務経験が全くありません。
知財の勉強をする上での主な関心領域は著作権・商標・種苗法・不正競争防止法と、独占禁止法などの関連法です。
↓こういう仕事をしてます
www.tomokooosuki.com
その点をご留意の上でご参考ください。
1:情報収集編
(1-1)SNS・ブログでフォローすべきアカウントはこれだ!
【総合】パテサロ
twitter.com結局パテサロが、知財系ニュース紹介アカウントとしては一番いいような気がします。
【知財実務】友利昴さん(企業の知財法務部勤務)
twitter.com連載もおもしろい。
businessandlaw.jpブログも読者になってます(はてなブログにおけるフォロー)
subarutomori.hatenablog.com友利さんは割と文体にクセが強いので、好き嫌いが分かれるような気もいたしますが
私は好き!!めちゃツボです。
【AIと著作権】柿沼太一先生(弁護士)
この分野は、何と言っても柿沼先生でしょう。
ブログもすごい。
【著作権全般】福井健策先生(弁護士)
twitter.comこの分野では知らぬ者はいない、福井先生です。
骨董通り法律事務所のコラム・メルマガも勉強になります。
【著作権全般】赤松健先生(漫画家/参議院議員)
赤松先生は漫画家ですが、今は政治家でもあるので、政治の話がかなり多くなっていますが、しかし私とは関心領域が近いですので、何かと勉強になります。
著作権以外にもクリエイター関連の問題(「表現の自由」とか、インボイス問題とか)
もキャッチできます。
【商標】岡村太一さん(弁理士)
twitter.comツイート全部をしっかり読んでいるわけではないですが
RTが勉強になる場合が多い。
事務所サイトの読み物も勉強になります。
【ファッション】海老澤美幸先生(弁護士)
海老澤先生はファッション分野を専門とする弁護士です。
海老澤先生はなんと旧自治省のキャリア官僚から宝島社のファッション誌編集者に転職し、その後イギリスに留学しファッションスタイリストとして働いたあと弁護士になった というキャリアの方です。
ですので、実務に即した説明が大変わかりやすいです。
ファッション分野は意匠・商標・著作権などかなり広範囲の知財が関係しますし、海老澤先生はかなりツイッター上の話題に敏感なので、かなり勉強になります。
mktlaw.jpWEBメディアも運営されており、こちらも勉強になります。
【知的財産法全般】長塚真琴先生&一橋大学法学部:長塚ゼミ
世田谷区史編纂問題で知り合った、一橋大学法学部の長塚真琴先生のアカウントと、
長塚ゼミのアカウントをフォローしています。
【著作権】著作権ニュース
twitter.comこれは著作権限定ですが、Twitter炎上など話題ネタはカバーしている感。
(1-2)Yuroocle(ゆるーくる)
「Yuroocle」(ゆるーくる)は知的財産権に関する情報を発信するグループです。
これには私も参加しています。
yuroocle.notion.site
こちらに、加盟者が発信している情報のデータベースもあります。
yuroocle.notion.siteが、データベースの更新は最近されていないので、分類前のRSSリーダを読んだりしています。
(1-3)月刊著作権専門情報誌『コピライト』
東京にいたときは『コピライト』(著作権情報センター)をたまに国会図書館で読んでいました。
今は神戸に住んでおり、『コピライト』は神戸大の図書館にあるみたいなので、そのうち行ってみようと思っております。
今は目次だけネットで読んで、国会図書館の遠隔複写で気になる記事だけ取り寄せています。
(1-4)知的財産管理技能士会メルマガもチェック!
知財技能士資格を得ると、自動的に送られてきます。
入会してなくても、知財技能士なら、未入会者向けのメルマガは読めます。
ザックリしたトレンド(?)を把握するために、一応毎週読んでいます。
ちなみに、私はこのメルマガに2回掲載してもらったことがあります。
https://www.ip-ginoushikai.org/newsletter
2:学習編
(2-1)とりあえず知的財産管理技能士検定を受験!
なんだかんだ言って、資格試験の勉強するのが、基礎用語や「前提」を覚えるには、一番いい気がします。
ビジネス著作権検定より知財検定のほうが広く浅いので、最初に「知財」の領域をザックリ学ぶなら、知財検定のほうが良いんじゃないかと私は思います。
著作権と商標権をごっちゃにしてる人が、最近多いように感じるのですよね。
petitmatch.hatenablog.com将来的には二級まで取りたいところですが、今のところ勉強はお休みしています…
(2-2)余力があればビジネス著作権検定も受験!
私はビジネス著作権検定の上級に今まで2回落ちてます…そして今は受験勉強はしていません。
petitmatch.hatenablog.comが、しかしビジネス著作権検定の勉強をしなければ、上記の長塚先生とお話する機会はなかったと思うので、勉強はしてよかったと思っています。
下記声明に氏名・肩書・専攻を明示して賛同しました。@ishihara_shun先生経由で知り、ずっと気になっていました。この実務が広がったら、日本法には著作者人格権があり、それは実際にも尊重されていると、対外的に伝えることができなくなりそうです。 @union_nets @cafe_petithttps://t.co/lyayUo9n0J
— Makoto NAGATSUKA (@m_ngtk) 2023年4月10日
「著作者人格権の不行使特約」については、「ビジネス著作権検定公式テキスト」及び「知的財産管理技能検定公式テキスト」には「契約実務上よく見られる」という内容が記載されています。このことが契約で安易に著作者人格権不行使を求めることに繋がっているのではと、私は以前から懸念しています。
— オオスキ トモコ (@cafe_petit) 2023年4月10日
「ビジネス著作権検定公式テキスト」にそんなことが! 検定委員として迂闊でした。次回の委員会で問題にしますね。例えばソフトウェアの分野では、「契約実務上よく見られ」てもあまり問題ないと思いますが、学術的著作物ではまずいです。対フリーランスでは、著作権譲渡も含め条件・状況次第かと。
— Makoto NAGATSUKA (@m_ngtk) 2023年4月10日
ビジネス著作権検定 公式テキスト[初級・上級]第3版 https://t.co/rJMTPAEVto P59にこうあります。これを読んで、著作物の性質は「現実の契約実務では(全て)著作権譲渡と著作者人格権不行使をするのが普通」という理解をする方が、かなりの比率でいるように思います。 pic.twitter.com/PpqTAAQGxn
— オオスキ トモコ (@cafe_petit) 2023年4月10日
画像ありがとうございます。一応プログラムを例示してありますね。どう直したら誤解がないか、ゆっくり考えます。
— Makoto NAGATSUKA (@m_ngtk) 2023年4月10日
長塚先生がビジネス著作権検定の検定委員であることを知らず、思いがけず思いっきりdisってしまいましたが、無事に著作者人格権の扱いについての記載は改訂されました。やったね
著検公式テキストは、2023年刊行の3版3刷を買いましょう。版元ページには、まだ2刷が出てます。https://t.co/gnfMzjIAQy 3刷では、著作者人格権の不行使を契約で定めることはできるとしつつも、事前の包括的不行使契約にはクリエーターから強い反対があり、無効説も少なくないと書き改めました。 https://t.co/QEDFb7pdgi
— Makoto NAGATSUKA (@m_ngtk) 2023年7月23日
(2-3)本を読む!
おすすめ本は『イラストレーション』の記事に書きましたので、そちらをご参照ください。
petitmatch.hatenablog.com上記の号の発売後、読んで良かった本は以下です。
読む本は、「1:情報収集編」で紹介した情報源から情報を収集して決めています。
(2-4)セミナーやイベントに参加することも
ここ1年で参加したのは、下記のセミナーです。
anchorkobe.com
ここ1年で、自分が話す側になったイベントも2件あり、次項に書きました。
(2-5)情報は発信するところに集まる!仲間内での相談・噂話の収集も侮れない!
知的財産管理技能士の資格を取ってから、イラストレーター仲間や知人から、著作権や契約について質問を受ける事が増えました。他の人の質問に回答する際には、必ず本などで調べ直すので、それが復習の機会になっています。
あと知人からの相談&噂話で、やはりザックリしたトレンドというか、流れみたいなのがわかる気がします。
また、昨年『イラストレーション』で「著作権と契約」の記事を作らせてもらったことは、とても勉強になりました。
これで勉強会・シンポジウムへの登壇の話が来るようになりました。
petitmatch.hatenablog.com知らない人向けに話すために、他の方のセミナーを見て勉強するようになりました。知識を得るためだけでなく、「どういう説明をしたら相手に伝わりやすいのか」をしっかり聞くようになったので、話を聞くときの『感度』が上がった気がします。
上記の『イラストレーション』の記事は自分で企画・編集協力を行いましたが、そこまで深く企画に関わらなくても、弁護士さんの監修が入る法律関連記事は、取材に回答するだけでも、かなり勉強になります。取材を受けて、記事作成の中で弁護士さんとやり取りさせてもらったのは『アサヒカメラ』で経験があります。
3:実務編
(3-1)結局、著作権に関しては「著作権テレホンガイド」が最強な気がする
仕事をしていて、ふとした疑問が浮かんだら、著作権テレホンガイドにすぐに電話して聞くようにしています。
文化庁に、下記のリストもありました。
(3-2)実際の契約に関しては民法・下請法・独占禁止法などの勉強も欠かせない!
実際に、知的財産権に関する契約をする際には、知的財産に関する法律だけでなく、他の法律も関わってきます。ですので、フリーランスの契約に関する法律もチェックしています。
www.mhlw.go.jpフリーランス新法もチェックしています。
www.jftc.go.jp具体的に言うと、上記パンフレットの「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン(概要版)」「コンテンツ取引と下請法」あたりを読んでいます。
色々勉強していたら、結局民法がすべての基礎なような気がしてきて、ビジネス法務検定を取ったほうがいいんじゃないかな?という気もしてきました。まだ何もしてませんが…
(3-3)INPIT、弁護士相談も
先日、急ぐわけではないが、弁護士に聞いたほうがいいなと思うようなことがあったので、初めてINPIT(知財総合支援窓口)に相談して、弁護士無料相談を予約しました。
急がない質問であれば、INPIT経由で予約すると無料なので…
あと、INPITだと、INPITの相談員さんの意見も聞けるので、複数の人の意見を聞いてみたいときには、INPITは良いなと思いました。
chizai-portal.inpit.go.jp
直接、自分が知っている弁護士さんに相談することもあります。
sprout4.com
こんな感じかな?
つらつら書いてみると、結構たくさん情報収集&学習していました。
何かのご参考になれば幸いです。