TOMOKO OOSUKI

イラストレーター オオスキトモコのブログです。

フリーランス新法についてのパブリックコメント 資料の概要・感想

フリーランス新法についてのパブリックコメントがはじまりました。

「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行令(案)」等に関する意見募集について

public-comment.e-gov.go.jp

資料を全部読み、資料の概要と、私の感想を、現時点のものをまとめました。
パブコメは、まだ提出してません。
実際に意見を出すのは、もう少し他の方の意見をネット等で見てみてからで良いかな
と思っています。
【2024/4/18追記】結局、もう出してしまいました。

petitmatch.hatenablog.com

資料の中で私が疑問に感じた点について、厚生労働省公正取引委員会に電話で質問をしたので、パブコメを書こうと思っている方の参考になれば幸いです。

これを読む前に、頭に入れておいた方が良い基礎知識・資料

特定受託事業者=フリーランス本人のこと

業務委託事業者=発注者(企業のほか、仕事を発注するフリーランスも含む)のこと

↓この資料がわかりやすい

https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/download/freelance/law_03.pdf

https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/download/freelance/law_03.pdf

https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/download/freelance/law_03.pdf

https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/download/freelance/law_03.pdf

パブコメ資料に関する問い合わせ先は以下

別紙⑴⑵⑸⑹
公正取引委員会事務総局経済取引局取引部取引企画課フリーランス取引適正化室
電話 03-3581-5479

別紙⑶⑷
厚生労働省雇用環境・均等局総務課雇用環境政策
電話 03-3595-3275

資料を読んでわからない点があったら、電話したら教えてくれますよ。


【別紙1】特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行令(案)について

https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000273052

【概要】フリーランス新法で、これまで決まっていなかった点をハッキリさせましたよ、具体的には以下のようにしました というお知らせ。
【感想】特に問題なし。
【提出意見(予定)】なし。

【別紙2】公正取引委員会関係特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行規則(案)について

https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000273053

【概要】フリーランス新法において、公取委が管轄になる部分についての法律文の案。
【感想】特に問題なし。
【提出意見(予定)】なし。

【別紙3】厚生労働省関係特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行規則(案)について

https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000273054

【概要】フリーランス新法において、厚生労働省が管轄になる部分についての法律文の案。
【感想】特に問題なし。
【提出意見(予定)】なし。

【別紙4】特定業務委託事業者が募集情報の的確な表示等に関して適切に対処するための指針(案)について

https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000273055

【概要】

フリーランス新法において、下記部分についての指針案(ガイドライン)。

・ランサーズ等のプラットフォームや自社ホームページで、広くフリーランスへの業務委託案件への応募者を募る場合の必須事項・望ましい事項。

・妊娠、出産もしくは育児又は介護に対する配慮

・セクハラ、パワハラ、マタハラ、いじめ・嫌がらせ等への措置・相談窓口の設置・対応

【感想】

私は今は完全に個人なので設置義務はないが、超零細企業とかは「相談窓口の設置」って、実質無理なのでは…?この点、発注側企業はどう対応するんだろう?
「特定業務委託事業者」って、「2人以上働いてる人がいる発注者(個人でも1人以上従業員がいれば該当してしまう)」なので、相当数の企業が該当してしまうと思うのだが…?何らかの「ハラスメント対応研修」を受けとけばOK くらいの感じなのだろうか?
また、フリーランスの立場としても、例えば2人企業の1人からハラスメントを受けた場合、実際相談できるかと言うと、しづらいと思う。

この点、厚労省に直接電話して聞いてみました。

厚労省からの回答)そういった事例は、想定してませんでした。
こちらの意図としては、既に存在する相談窓口の対象を、フリーランスの方向けにも広げて欲しいという意図でした。確かにそういった可能性もありえますね…
その点、ぜひパブコメに書いておいてください。
”何らかの「ハラスメント対応研修」を受けとけばOK くらいの感じなのだろうか?” については、その可能性は高いです。

【提出意見】

後日まとめます。
上記の件と、「実質、相手先企業がハラスメント相談窓口を用意するのが無理な場合に、具体的にどうすればいいのか」を、厚生労働省からフリーランス側に明示したほうが良いのでは?ということを、丁寧な言葉で書こうかなと思っております。

あと、さきほど下記のような意見を見かけました。

次項でも書いた「契約の始期と終期」の定義についても、書くかもしれないです。
つまり契約の終期を「役務の提供終了日」ではなく、「最終の報酬支払日」にしたほうが、実際にいま被害にあっているフリーランス当事者を保護するという意味では、現実的になるのではないか?ということを書こうかなと…


★最重要★【別紙5】特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の考え方(案)について

https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000273056

【概要】

フリーランス新法において、公正取引委員会が担当する部分についての考え方(案)。
要するに契約条件、報酬条件に関する部分についてのガイドライン、考え方である。
これが今回の最重要部分である。

フリーランス当事者で、他の資料を読むのが面倒くさいという方は、これだけ読めば良いのでは。(他は企業側・依頼側の人は読んだほうが良いと思うが、個人事業主には影響しない部分が多いので…)

【感想】

知的財産権の扱いについて

イラストレーターとして気になる部分、知的財産権の扱いに関して、
「業務委託において知的財産権著作権とか)が発生し、使用許諾or著作権譲渡を含めて業務委託を行う場合には、譲渡・許諾に対する対価を報酬に加えるように」と明文化されていた。
これは、安易&安価な著作権譲渡を「買いたたき」として違法行為に問いやすくなるので、良いのではないかと思う。
ただ、イラストレーター側が契約書をきちんと読めないと、「自分の意志で」「激安で(無償で)」著作権譲渡に合意してしまうという証拠を相手に与えることになってしまうので、
予測どおり、諸刃の剣であろうと思う。

petitmatch.hatenablog.com

インボイス関連について

あとP30、禁止事項である「報酬の減額の禁止」の説明で、「報酬の額を減ずること」に該当する具体例として、「消費税・地方消費税額相当分を支払わないこと」がある。
これも、インボイス制度に乗じた消費税分金額の減額への対抗になっているので、良いと思う。

肝心かなめの「契約期間の考え方」がダメ

しかし、肝心の、上記のような、下請法に準ずる規制がかかる条件である契約期間、「1ヶ月以上」の始期と終期の考え方、
特に「終期」の考え方がダメだと思った。

現状のものだと、イラストレーションの仕事の場合、依頼から締切(納品・役務の提供)までのスケジュールを、ギリギリ1ヶ月以内にすることや、意図的に契約書の締結を遅らせることで、規制を逃れようとする発注者が出てきそうな気がする。
これでは、本法の存在意義が、ほぼなくなってしまう。
また、本質的には、仕事というのは、「納品(給付)」で終わりでなく「報酬の回収(料金の支払い)」まで行って終了であるのに、「納品」が「期間の終期」というのは、完全におかしい
と思う。

スケジュールが悪条件な企業や案件や、また契約書の提示や修正が遅い、法務部や法務担当者が存在しない・法務担当者や顧問弁護士の質が低い企業ほど、取引上での問題も多い傾向にある。
組織全体が低モラルで、遵法意識に欠けるためである。
要するに「行き当たりばったり」の「その場しのぎ」で仕事をやっている人や企業ほど、仕事上のトラブルは多いということです。

そのため、期間の始期は「契約締結日」で問題ないが、
終期は「特定受託事業者の給付を受領し、又は役務の提供を受ける期日」ではなく、「報酬の支払期日」にすべきではないかと考えます。

あと、以下のように、不明瞭な部分が複数ある。
ガイドラインなので、ハッキリさせたほうが良いと思った。
一応念のため、公取委に直接電話して、確認してみました。

★疑問1★特定業務委託事業者の遵守事項が発生する条件、
契約期間の「1ヶ月以上」というのは、

具体的には「何日以上」のことを指すのか?

公取委からの回答)例えば4/15が始期であれば5/15以上。翌月の同日以上。
「30日以上」ではない。

★疑問2★情報成果物製造委託で知的財産権の使用許諾契約が同時に発生する場合、契約の終期の考え方はどうなるのか?
使用許諾契約の終了日が「当該業務委託にかかる契約の終了する日」となる?

公取委からの回答)それについてはまだ決まっていない。

また、報酬については、「業務委託料と使用許諾・著作権譲渡に対する費用を明確に分けて記載しないといけない」という意図があるのか?

公取委からの回答)分けて記載する必要はない。
使用許諾・著作権譲渡に対する費用が、業務委託費用に加わっていれば良い。

★疑問3★「当該業務委託にかかる契約」には「報酬の支払い」も該当するか?
「当該業務委託にかかる契約の終了する日」は支払期日のことを指すか?

公取委からの回答)報酬の支払いについては「当該業務委託にかかる契約」には入らない。

【2024/4/18追記】

★疑問4★契約の有効期間を1ヶ月以上に設定することで、当法第5条の対象契約とすることは可能か?
たとえば、1日で終了する単発の役務の契約の場合でも、契約の有効期間を1ヶ月以上に設定することで、当法第5条の対象契約とすることは可能か?

公取委からの回答)可能。資料「別紙5」P26の

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(イ) 終期

単一の業務委託又は基本契約による場合における期間の終期は、業務委託に係る契約が終了する日又は基本契約が終了する日のいずれか遅い日であり、具体的には次の日のいずれか遅い日である。

なお、実際に給付を受領した日が、3 条通知により明示する期日等よりも前倒し又は後ろ倒しとなることがあるが、これによって終期は変動しない。

① 3 条通知により明示する「特定受託事業者の給付を受領し、又は役務の提供を受ける期日」(ただし、期間を定めるものにあっては、当該期間の最終日)

② 特定業務委託事業者と特定受託事業者との間で、別途当該業務委託に係る契約の終了する日を定めた場合には同日

③ 基本契約を締結する場合には、当該基本契約が終了する日
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①は納期、②が契約の有効期間について定めているイメージ。
「当該業務委託に係る契約」には秘密保持契約などをイメージしているが、具体的にどういった契約が該当するかは、検討中である。

【提出意見】

後日まとめます。(資料の何Pのどこ、とか詳しくネチネチ書きます)

【別紙6】本法と独占禁止法及び下請法との適用関係等の考え方(案)について

https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000273057

【概要】

フリーランス新法と独占禁止法・下請法が両方適用になる企業・案件の場合には
基本的にフリーランス新法が適用される。
しかし、公取の判断で下請法を適用させたほうがいいと判断した場合には下請法が適用される。
ということが書いてある。

【感想】特に問題なし。
【提出意見(予定)】なし。

★参考になった記事★

概説フリーランス新法 小山紘一 

www.kottolaw.com

フリーランス新法と下請法の比較

note.com

パブリックコメントの書き方 | あきくさ法律事務所

akikusalaw.com

実際に出したパブコメ

petitmatch.hatenablog.com

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