先日、『ビジネス著作権検定公式テキスト[初級・上級]第3版』(インプレス)の改訂版、第3刷が発売となりました。
◆ ビジネス著作権検定 公式テキスト[初級・上級]第3版
【第3刷】7月6日(木)重版出来
インプレスの書籍紹介ページでは、一切の説明がされていませんが、この第3版第3刷では、著作者人格権の説明について、記載の変更がなされています。
book.impress.co.jp
↓ビジネス著作権検定「著作権検定委員会」検定委員の一橋大学法学部教授 長塚真琴先生のツイート
著検公式テキストは、2023年刊行の3版3刷を買いましょう。版元ページには、まだ2刷が出てます。https://t.co/gnfMzjIAQy 3刷では、著作者人格権の不行使を契約で定めることはできるとしつつも、事前の包括的不行使契約にはクリエーターから強い反対があり、無効説も少なくないと書き改めました。 https://t.co/QEDFb7pdgi
— Makoto NAGATSUKA (@m_ngtk) 2023年7月23日
www.sikaku.gr.jp
変更点は著作者人格権の部分の記載(P59、P66)です。
著作者人格権不行使特約について、
P59では
(前略)「将来の創作行為に及ぶ、あらゆる著作物の包括的な著作者人格権の不行使を定める事前の契約は、近年クリエーターから強く批判されており、その有効性を否定する見解も少なくない。この点、氏名表示の扱いや将来あり得る改変について、契約当事者双方が対等かつ率直に話し合い、具体的で公平な取り決めをすれば、無効のリスクを減らすことができる。」
P66では
(プログラムの著作物とは異なり)
「イラストや文章などの著作物においては、こうした契約の法的能力に疑問も呈されている」
という記載がされました。
著作者&著作権者として、とても嬉しいです。
安易な著作者人格権不行使特約が蔓延する昨今ですが、下記の友利さんのご本でも
「イラストやコラム記事など、著作者の個性やこだわりが現れやすいタイプの著作物は、不行使同意は避けた方が良い」(P155)と明言されていました。
petitmatch.hatenablog.com
著作者人格権を尊重する流れが来ているのを感じます。
私のような仕事(イラスト・コラム)をされている方で、もし特に説明なく著作者人格権不行使特約を提示されて困ったら、上記2冊の記載を根拠として説明するとよいかと思います。
法務担当者など企業側で著作権契約に関わる方も、知識をアップデートしていただきたいです。
『ビジネス著作権検定公式テキスト[初級・上級]第3版』は、ネット書店では「3版3刷」の指定ができないので、書店で注文したほうが良いと思います。