TOMOKO OOSUKI

イラストレーター オオスキトモコのブログです。

【読書記録】宇根駿人・田島佑規『クリエイター六法』(翔泳社)

宇根駿人・田島佑規『クリエイター六法』(翔泳社)

宇根駿人・田島佑規『クリエイター六法』(翔泳社

「クリエイター六法」読みました。

この本は、かなりリアルで良いです!

この本の著者の宇根駿人弁護士(大道寺法律事務所)、田島佑規弁護士(骨董通り法律事務所)は、今は東京におられますが、もともとは関西で「デザイナー法務小僧」というクリエイター向け法務サポート活動をされていた方たちです。

d-kozo.com
私が東京にいて、お二人が関西におられた時に、SNSですこしやり取りをさせていただいたことがあります。
その時は正直、彼らの発信内容は疑問に感じる点が多く、狙いがよくわかんなかったのですが、いま「なるほど〜!!」と答え合わせをしているという感じ…

実際に受けた相談を元に書かれているので、 六法と言いつつ実務ベースで、あんまり法律の解説はないが、とにかく実用的な本だと思いました。

法律の解説は、巻末にすこしだけある程度です。しかし、著作権法だけでなく商標法、フリーランス新法、下請法、景品表示法ステマ規制など、クリエイティブ関連の仕事に関係する法律をカバーしており、抜かりない。


しかも、「フリーランス新法・下請法が直接クリエイターを保護してくれるわけではない。基本は自衛である」
という、フリーランス法務の基本をハッキリ書いてるのも素晴らしい。

私も20年の経験から、それはものすごく実感しています。
フリーランスは何しろ個人なので、まず揉め事が起きる時点で時間のロスで、利益が減ってしまう。
弁護士頼むレベルになったら赤字です。
なので、私が弁護士に相談する場合、基本的には「トラブル予防」のためです。

あと、付録に「書きにくいメールの文面集」が付いているのが何より素晴らしい!
弁護士相談しても、「結局それをメールでどう言えばいいのか」がわかんない人って、多いと思うんですよね…

私はメール文面も合わせて弁護士チェックを受けるようにしていますが、
しかし、そもそもこの話をどう言葉で表現すればいいのか?って
パッと言葉が浮かばない場合も多いと思うんです。
今まで書きにくいメールって『書きにくい手紙・おわびの手紙』(主婦の友社)を参考にしたり(これ絶版みたいですが、名著だと思う)

夫に考えてもらったりしていたが、この本は、付録にテキストファイルがついているので、コピペでそのまま使えるので便利!

契約書見本も、今まで見たものの中でベスト!
クリエイター法務書籍としては、史上最高の本と言えるでしょう。

法律関係の書籍って高いので、「受託で何かものを作って納品する仕事をする人」が、
何かどれか1冊買うとしたら、これだと思う。

フリーランスじゃなくて会社員の方や、「仕事を依頼する側・著作物を使うほう」(編集者・デザイナー・広報担当者等)の人は、友利昴さんの『職場の著作権対応100の法則』のほうがおすすめです。

petitmatch.hatenablog.com
あと、そもそも論というか、そもそもの知的財産関連法そのものが、どういうものかを知りたい人は、『知的財産管理技能検定3級公式テキスト』を読むと良いと思います。

↓このページから目次・試し読みPDFがダウンロードできます。

www.shoeisha.co.jp