TOMOKO OOSUKI

イラストレーター オオスキトモコのブログです。

【メモ・よい流れ】今までCOPYTRACKでは対象外とされていた相手への料金回収が簡単にできるようになるかも

私も含めて、ネットで発信していて、何らかの犯罪の「被害者」となりがちな方には、かなりの朗報です!
総務省で、「犯人の特定」がやりやすくなる方向で検討中とのことです。

1・総務省で「発信者情報開示の在り方に関する研究会」が開催

先日、NHKニュースで、このような記事が出ていました。

www3.nhk.or.jp

上記の記事を読むと、「インターネット上の書き込みなどでひぼうや中傷を受けた人が、投稿した人物の情報開示を請求できる仕組みについて、総務省は手続きにかかる時間を短縮できるかどうかなど、見直しの検討を始めました。」とあります。

この「投稿した人物の情報開示を請求できる仕組み」について見直すというのは、「インターネット上の書き込みなどでひぼうや中傷を受けた人」だけなのかな?著作権侵害については対象でないのかな?と思ったので、総務省のホームページを見てみたところ、この記事の有識者会議というのが何なのかというのと、資料を見つけることができたので、読んでみました。

www.soumu.go.jp

ザックリ言うと、今回の検討には、
著作権侵害も対象
になっていました!
★発信者情報開示がやりやすくなる(犯人の身元を割り出すために、何度も裁判しなくてよくなる)流れで検討中
★海外サービス、SNSTwitterFacebook等)も検討の範囲に入っている

ということなので、私も含めて、ネットで発信していて「被害者」となりがちな方には、かなりの朗報です!

2・今まではあらゆる意味で「やられ損」だった その障害がなくなるかも

今回、検討の対象となる、他人の権利を侵害する情報=「権利侵害情報」というのは、NHKの記事に書かれていた名誉棄損のほか、プライバシー侵害の書き込み著作権侵害コンテンツも対象となっています。

スクリーンショット 2020-05-04 01.27.46

出典:総務省ホームページ 発信者情報開示の在り方に関する研究会(第1回)配布資料・「資料1-2  発信者情報開示請求に関する背景及び現状」より引用 
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/information_disclosure/02kiban18_02000091.html

私が過去に下記の記事でも書いていましたように、今まで、TwitterFacebook等の著作権侵害においては、発信者情報開示請求(犯人の特定)
自体がとても困難で、手間も時間もお金もかかり、経済的にも赤字になってしまうことが多く、それが泣き寝入りの要因となっていました。

現状、インターネット上で著作権侵害を発見し、損害賠償請求をしたいと考えた場合、まず「犯人の特定」から行わなければなりません。

この「犯人」が、企業の公式アカウント・ホームページとかだったら簡単なのですが(ありえないと思う方も多いかもしれませんが、実際に私は企業の公式サイトからの被害経験があり、画像使用料を回収しています)、個人だった場合や、犯人が画像をUPしていた場所がSNSや第三者投稿型プラットフォーム(NAVERまとめとか、アメーバブログ等の個人ブログとか。)だった場合、とても困難です。

一般的には、犯人の特定までに2回裁判が必要で、そのあとにようやく損害賠償請求の話し合いなり、裁判なりがはじまります。

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出典:総務省ホームページ 発信者情報開示の在り方に関する研究会(第1回)配布資料・「資料1-5  主な検討課題(案)」より引用 
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/information_disclosure/02kiban18_02000091.html


なんでプロバイダが、あっさり犯人の情報を教えてくれないかというと、開示をするプロバイダの側に、「もし『犯人』が犯人じゃなかった場合の免責事項」がないので、プロバイダも開示に慎重になるわけです。

そして現状の法律では、「開示しなかったこと」で被害者側になにか損害が発生したとしても、故意・重過失がない限り免責されるということになっています。なので現状、プロバイダには開示する方にリスクがあるのです。
参考:BLOGOS 
最所義一:発信者情報開示のあり方を見直し!? https://blogos.com/outline/454811/

blogos.com

*逆に言えば、「明らかに違法である」証拠を初めの段階で出していれば、裁判しなくても、書類を出すだけで、あっさり開示してくれるプロバイダもあります。私個人の実体験上ではそうです。でも慎重なプロバイダも多いようです。

というわけで、著作権侵害における損害賠償請求「以前」の段階でメゲてしまい、結果として泣き寝入りとなってしまう方が、現状多いのではないかと思われます。私自身も、海外プラットフォームのものに関しては、全然対処できていません。(なんかインスタのパチもんみたいな、変な海外のサービスに画像をパクられてるのを把握していますが、対処できていません)

NTTコミュニケーションズの資料を見ても、名誉毀損が一番件数が多いのは、やっぱ名誉毀損っていうのは、生きていく上で、きちんと裁判しないと本当にその後の人生が困難となるからではないかと考えます。それにしても現状、被害者が大変すぎますよね…

3・最終とりまとめは2020年11月頃 今後、要注目!

この研究会の資料にあった、法律事務所アルシエンの弁護士、清水陽平氏による「発信者情報開示に関する課題について」が本当に素晴らしくて…
https://www.soumu.go.jp/main_content/000685612.pdf

私がやってほしいことが、全部書いてありました。
この資料を総務省の人が把握しているというだけで嬉しい…うう…
大きな進化だ…(ToT)

この課題が全部解消されるなら、「以前COPYTRACK経由で解決できなかった海外サイト」やSNSでも、今より圧倒的になんとかしやすくなります。
相手の連絡先さえわかれば、商用利用の場合COPYTRACKも使えますし、弁護士や警察に相談するなり、とにかく何らかの対処ができますので…

今のうちにCOPYTRACKなどで、画像無断使用を洗い出しておいて、
連絡先がわからなくて回収できなかったものでも、とりあえず「無断転載」フォルダに入れておけば、法改正がされたらすぐに対応できます。

スケジュールは以下のように進むようです。最終とりまとめは2020年11月頃ということなので、法改正等が行われるにしても、まだまだ先だと思うのですが…しかし今後、要注目です!

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出典:総務省ホームページ 発信者情報開示の在り方に関する研究会(第1回)配布資料・「資料1-6  今後の検討スケジュール(案)」より引用 
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/information_disclosure/02kiban18_02000091.html