今回は、「下請かけこみ寺」と「コンテンツ取引と下請法」を紹介します。
1・下請かけこみ寺
「下請かけこみ寺」については、以前も書いたことがあるのですが、まだまだご存知ない方が多いようなので、再度ご紹介します。
イラストレーターでなくても、フリーで働いていると、いろいろ困りごと、困り事まで行かなくとも「これ、どうなんだろう?」という疑問が、ちょこちょこ出てきますよね。そんなときには、
「下請かけこみ寺」(中小企業庁の委託事業)
0120-418-618
https://www.zenkyo.or.jp/kakekomi/
に電話すると、相談に乗ってくれます。
そして適切な相談先が他にある場合には、そちらを紹介されます。
「下請かけこみ寺」は、直接取引先になにか指導をしてくれたりとか、交渉してくれるというわけではないけれど、
話を聞いてくれて、「誰に相談すればいいのか」を教えてくれます。
なので、「仕事していて、これはおかしいんじゃないか?と思った。でも、法律に違反することなのかもわからないし、一体どういう解決の仕方があるのか、何が問題なのかもよくわからないけど、これはなにかおかしいと思う」くらいの感じの悩みがあるときにおすすめです。
「絵を描いていて疑問」じゃなくて、「『絵の仕事』してて疑問」に思った時に電話するといいです。
また、「『新型コロナウイルス感染症』の影響を受け、取引でお困りの事業者の相談を受け付けています。」
ということです。コロナを理由にした取引先からの理不尽な要求というのは、ツイッターでたまに見かけるので、そういったことでお困りの方は、ぜひ電話してみると良いのではと思います。
「絵を描いていて、これは法律的にどうなのかと思った」ときは、【イラストレーターと法律・1】で紹介した人たちのほうがいいと思います。
「下請かけこみ寺」には、私も何度も電話したことがあります。
その経験からいうと、
だいたいの場合、優しいおじいさん・おじさんが電話に出ることが多く、意外と頼りになります。
ちなみにメールすると、向こうから電話がかかってきます。(そういう決まりらしい)
2・コンテンツ取引と下請法
これは、国の機関である、公正取引委員会が出しているパンフレットです。
イラストレーターの仕事は、案件にもよりますが「情報成果物作成委託」
になることが多いので、一度目を通しておくといいと思います。
https://www.jftc.go.jp/houdou/panfu_files/contentspamph.pdf
下請法とは、取引のやり方について定めた法律の1つです。
https://www.jftc.go.jp/shitauke/shitaukegaiyo/index.html
少し前に、なんと今の時代に「ギャラを聞いても教えてくれない会社がある」っていう話を聞いたのですが…
そもそも下請法上は、依頼主が「発注書面」を作ることが「義務」なので、発注時にギャラを書いた書面がない時点で、違法なんですよね…なので、すごくビックリしました。
私の実感では、10〜15年くらい前は、そういう会社もありましたけど、2020年現在では、ほとんどないと思います。
何度も書きますが、違法なので…
もしそういう人に遭遇したら、すぐに「下請かけこみ寺」に電話して、相談するといいと思います。
相手が下請法が適用される企業なのか?この事例って考える法律はそもそも下請法でいいのか?っていう問題もあったりしますが、それも含めて教えてもらえるので、とりあえず電話してみることをおすすめします。
3・(おまけ)「申告」をするとどうなるのか
下請かけこみ寺に電話して、相談員が下請法等、関係法令に違反する可能性が高いと判断した場合、
中小企業庁または公正取引委員会に「申告」をすることを勧められます。
被害者が申告すると、中小企業庁または公正取引委員会が相手企業に調査に入り、下請法で禁止されている行為をしていると判断された場合、「勧告」を受けます。
勧告を受けた企業名や違反内容などは、公正取引委員会のホームページで公表されます。
公取委は、本当に動きが速いです。私は困ったことがあったらすぐに、「下請かけこみ寺」に電話して申告をしていますし、
自分で申告した企業からでなくても、追加支払いを受けた経験があります。
↓詳しくは
下請法に違反するとどんなペナルティがある?
https://www.komonhiroba.com/subcontracting-law/subcontracting-law-violations.html
↓イラストレーターに関係がありそうな、下請法違反で勧告を受けた企業・具体的な事例はこちらです。
(公正取引委員会ホームページへのリンクです)
リンク先を読んでいただければ書いてありますが、消費税をきちんと払わず、勧告される会社が多いようです。
(平成27年7月9日)株式会社主婦と生活社に対する勧告について
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h27/jul/150709_1.html
(平成29年12月14日)株式会社西日本新聞社に対する勧告について
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h29/dec/171214_1.html
(平成30年6月21日)株式会社マイナビ及び株式会社マイナビ出版に対する勧告について
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h30/jun/180621kankoku.html
(令和元年5月24日)株式会社リクルートホールディングス及び株式会社リクルートに対する勧告について
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2019/may/190524kankoku.html
(令和元年9月20日)株式会社中日新聞社に対する勧告について
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2019/sep/190920kankoku.html