TOMOKO OOSUKI

イラストレーター オオスキトモコのブログです。

【MEMO】ネット上の誹謗中傷と発信者情報開示請求、SNS規制について、思うところ

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情報交換仲間である写真家、岩崎さんの記事がAERA dot. に出ていました。

SNS誹謗中傷で注目の「発信者情報開示請求」 約350件請求した写真家の体験に学ぶ (1/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット) https://dot.asahi.com/dot/2020060400085.html

dot.asahi.com
岩崎さんは以前から発信者情報開示請求についてのブログ記事 https://www.yakei-photo.jp/blog/ip/tus/ を書いていました。
私は岩崎さんのブログを読んで、発信者情報開示請求を自力でやり、そのあと弁護士に依頼して画像無断使用に対する損害賠償請求をやったことがあります。その時に不正使用されていた画像は1枚で、4万円くらいの黒字でした。

www.yakei-photo.jp

私は裁判に至らず、かなりあっさりと、1週間くらいで犯人の連絡先(住所までも…)が開示されました。
そのあと弁護士経由で犯人に連絡してもらい、犯人もかなりすぐにお金を払ったので、発信者情報開示請求から数えて、1ヶ月以内に弁護士費用を引いて4万円くらいが振り込まれました。

発信者情報開示請求は、最初の1回、書類作るのが面倒くさいのですが、その後はコピペでできますよ。
詳しいやり方については、岩崎さんのねとらぼの記事がわかりやすいと思います。

画像「無断転載」の情報開示請求、慣れたら10分でできる 裁判で約90万円勝ち取った写真家インタビュー https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1810/21/news007.html

nlab.itmedia.co.jp

岩崎さんは「クリエイター必携 ネットの権利トラブル解決の極意」という本も出されています。

クリエイター必携 ネットの権利トラブル解決の極意

クリエイター必携 ネットの権利トラブル解決の極意

  • 作者:岩崎 拓哉
  • 発売日: 2019/05/30
  • メディア: 単行本
 

画像無断使用もそうですが、誹謗中傷など、ネット上の違法行為の被害にあった場合、基本的には被害者が相手の違法性の証明をしなければなりません。

画像無断使用と誹謗中傷は、発信者情報開示に必要な手続きは同じです。書式は1つしかないです。↓ここの「発信者情報開示関係書式(PDF)」というものです。

www.isplaw.jp

私が対処した、画像無断使用に関しては、証拠書類を作るにしても、あんまり精神的苦痛はないと思うのですが(当然「なんで被害者なのにこっちが面倒なことをしなければならないのか…」みたいな感情はあります)、
誹謗中傷の証明書類を自分で作るためには、自分に対する悪口をもう一回見なければならないし、メンタルへの負担が、画像無断使用と比較してかなり大きいのではないかと想像します。
なので自力でやるのは、メンタル的に難しい面があるかもしれません…

なので私は、誹謗中傷に関しては、自力で全部法的対応をやるのは、あんまりおすすめできないです。味方になってくれる人、できれば弁護士を相談相手として確保したほうがいいと思います。
でも岩崎さんがおっしゃるとおり、「開示請求の手続きをする人が増えれば、著作権者や、誹謗中傷を受けた人の保護に向けた法改正などにもつながっていくのではないでしょうか」というのは、その通りだと思います。

いわゆる「SNS規制」については、未だ具体的なことはわかりません。
私の印象では、もともと検討されていたことに対して、木村花さんの件を受けて自民党がシャシャって来ただけという印象です。
もともと被害者の皆さんや専門家組織は、今までも、頑張って行動していました。

総務省の「発信者情報開示の在り方に関する研究会(第1回)」のNTTコミュニケーションズの資料を見ればわかりますが、誹謗中傷に対する発信者情報開示請求の件数は、ここ3年で急増していています。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000685613.pdf

また、こちらの記事を読むと、2011年から日本弁護士連合会も、総務省等に対し意見書を出しているようです。

テラスハウス問題でSNS規制が浮上 法改正で「権力に有利になる」は本当か?
https://bunshun.jp/articles/-/38113

bunshun.jp

SNSで誹謗中傷ほか違法行為が行われている場合、その発信者を特定しやすくする」という点においては、前々から完全にこの流れは来てたと思います。それだけに…間に合わなかったかという気持ちを強く感じ…悔しいですね。

総務省:発信者情報開示の在り方に関する研究会
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/information_disclosure/index.html

www.soumu.go.jp

この研究会について、私も少し前に下記の記事を書いています。わかりやすいと思うので、よろしければぜひお読みください。

petitmatch.hatenablog.com