TOMOKO OOSUKI

イラストレーター オオスキトモコのブログです。

【MEMO】インボイス制度と、フリーランス協会の炎上について思うところ(後編)

【2023/2/28】ジャーナリスト犬飼淳さんのニュースレターで、この記事が紹介されました!

juninukai.theletter.jp

この記事は、下の記事(前編)の続きです。

petitmatch.hatenablog.com

3・フリーランス協会一般会員(有料会員)である私の、本件に対する個人的な印象

私のインボイス制度に対する考え方

私は、現行で導入されようとしている「インボイス制度」に対しては、
「現行で導入されようとしているインボイス制度には反対、見直しの必要があるため、中止または延期すべきである」と考えています。
理由は以下です。

【理由1】本来、適格請求書(インボイス)を発行すること自体に、課税事業者か免税事業者かというのは、関係ないのに、課税事業者にならないと発行できなくなるというのは、おかしい(論理的整合性がなく、必然性もない)。

適格請求書(インボイス)の発行と免税事業者であること(事業者免税点制度)は分けて考えるべきでは?
→私は免税事業者ではありますが、請求書に関しては、消費税の軽減税率制度(複数税率制度)がある限りは、複数の税率の商品があった場合に分けて記載するのは当然と思うので、既に適格請求書(=インボイス)と同等の請求書を発行しています。
*なので軽減税率制度(複数税率制度)がある限りは「インボイスはいらない」とまでは思わないです…
このように、免税事業者でも、既に発行できているものを、課税事業者にならないと発行できなくするということが、論理的におかしいと考えます。

【理由2】現行で導入されようとしている「インボイス制度」は、単なる「個人事業主向けの増税」である。コロナや戦争の影響の物価高で大変で、補助金助成金でなんとかやっている方も多い中、増税を行うというのは愚策であると考える。
個人事業主に対し、補助金助成金を出すことでコロナ対応を行うよりも、インボイス制度の導入を延期し、再検討すべきである。

【理由3】岸田内閣が言っている「スタートアップ支援・フリーランス保護」と、現行で導入されようとしているインボイス制度導入は、政策として矛盾するのでは?
そもそも、消費税の事業者免税点制度は、小規模事業者の納税事務負担等に配慮して納税義務を免除する制度である。そういった目的があっての免税であるのに、ここで、小規模事業者に対する「事務負担への配慮」をなくし、わざわざ増税する必要があるのか?
本気でフリーランス保護、スタートアップ支援をする気があるのなら、消費税の事業者免税点制度は廃止すべきでないと考える。個人事業は、気軽に起業できるように制度設計すべきである。

kishida.gr.jp
私が書いているようなことは他の方も言われてると思いますが、山田太郎議員のサイトに書かれていることが私の考えと近いので、ここでも引用しておきます。

 

3.インボイス制度をめぐる論点
3-6 免税事業者の制度(事業者免税点制度)の問題

しかし、制度設計をする上では、①・②以外の選択肢もありうるはずです。それは、

 ③適格請求書発行事業者であり、かつ、免税事業者でもあることを認める場合です。

インボイスを発行・保存することと、免税事業者でなくなることとの間には、論理的な必然性はありません。

4.フリーランス政策の重要性の高まり

このようにフリーランス政策が政府の主要政策になったのはここ3年間の話であり、インボイス制度の導入が決まった2016年の税制改正法案の成立時とは大きく事情が変わっています。ですから、今一度、実施前に、フリーランス保護の観点からしっかりとインボイス制度を見直すべきではないかと考えています。

taroyamada.jp

私の所属団体である日本漫画家協会のほか、創作者団体の声明は下記でまとめてあります。

petitmatch.hatenablog.com

各件については問い合わせ中、回答を待っているところだが…

私は2021年の12月からフリーランス協会の一般会員(有料会員)です。
フリーランス協会は、無料会員と一般会員(有料会員)の会員種別があります。

www.freelance-jp.org

フリーランス協会は、数年間無料会員でしたが、昨年、賠償責任保険目的で一般会員になりました。
しかし、フリーランス協会が「インボイス制度に賛成の立場」というのは、はっきり言って「寝耳に水」でありました。説明会など聞いていても「政府寄り」なのかなとは思っていましたが…

フリーランス協会のツイッターアカウントによる、インボイス制度についての一連の発信は、インボイス制度に反対している団体や個人に対して、かなり失礼な態度であると感じました。

そこで、2022/12/27に、フリーランス協会の事務局に対して、「フリーランス協会のツイッターアカウントでの発信活動について」として、下記のような意見を送りました。

2022年12月24日にフリーランス協会 @freelance_jp から投稿された下記のツイートに対して意見があり、ご連絡いたしました。

フリーランス協会による問題のツイート(2022/12/24) https://twitter.com/freelance_jp/status/1606448248918781952 

フリーランス協会による問題のツイート(2022/12/24) https://twitter.com/freelance_jp/status/1606448248918781952 

これは、団体の広報活動としては、完全に「異常」な発言だと思いました。

フリーランスの『みんな』がインボイスに反対しているわけではありません。」
というのは当然の話です。いろいろな意見があって然るべきだからです。
そこでわざわざ「疑問に思われる場合はエコチェンバー効果についてお調べください。」と書いたのはなぜでしょうか。
必要がない文章のように思います。

また、わざわざこの文のあとに
「当協会は社会の分断と対立を煽る対話には参加致しません。フリーランス間の分断を広げたくないからです。ご了承ください」
と書いた意図は何でしょうか。
フリーランス協会は代表名、または何らかの形で、このツイートの意図について説明するべきだと考えます。

もし「インボイス反対派は、エコチェンバー効果によってフリーランス『みんな』がインボイスに反対していると思いこんでいるだけである」という意図での発言であるならば、ビジネス以前に人間同士のコミュニケーションの態度として、あまりに敬意に欠け、失礼すぎると思います。

インボイス制度は、個人事業主が多く所属する、複数の職業団体が導入に反対していますし、私が所属している日本漫画家協会も反対しています。
私が知る限りでは、東京土建一般労働組合などは、2016年の法案可決以前から反対の意を示しています。

www.tokyo-doken.or.jp

社会の分断と対立を煽っているのは、このツイートそのものであるように思います。

現状、フリーランス協会のツイートは、「フリーランス協会は、政府に従属的な組織であり、意見が違う同業者に対しては排他的かつ、攻撃的、高圧的」と見られていると思います。少なくとも私はそういった印象を持っています。
私のような協会員ですらそのような印象を持つのですから、外部の方から見たらどのような印象を持たれるのかを想像していただきたく思います。

繰り返しますが、フリーランス協会の一会員から見ても、今回、排他的で高圧的な態度でフリーランス間の分断を『自ら積極的に』行ったのは、このツイッターアカウントでの一連の発信だと思います。
一会員として、多大なショックを受けました。

今一度、フリーランス協会の発信活動について『客観的に』『冷静に』『視野を広く持って』見直していただきたいと思います。


その後、27日中に広報チームから、

「当協会内でも同様の議論があり、代表の平田がブログを準備している」

「この度は不快な思いをさせてしまい、申し訳ありませんでした。
ブログ公開まで今しばらくお待ちください。」

という内容の返信がありました。

しかし、フリーランス協会の年内営業期間中である27日17:00までには、ブログは公開されませんでした。そして、28日の早朝に、問題のツイートは消され、下記の不明瞭な「お詫び」が出されました。


さらに、その後に見た山田太郎議員のYoutubeは、かなり衝撃的な内容でした。
フリーランス協会に対して、かなり不信が募りました。
しかし、会員として、真意を確認したいと思い、主に山田太郎氏のYoutubeで言われている内容について、2022/12/30に追加で「説明を頂きたい」という意見を送りました。
下記がその内容です。*一部、読みやすくなるように編集しています。
この意見内容は、私のフリーランス協会への懸念事項と共通しているため、公開いたします。

2022/12/30に追加で送付した問い合わせ内容

私は「不快な思い」に対して謝罪を求めているわけではありません。
また、謝罪するのであれば、私ではなく、フリーランス協会に話し合いを求めたも関わらず、

「疑問に思われる場合はエコチェンバー効果についてお調べください。 当協会は社会の分断と対立を煽る対話には参加致しません。」
と、対話を拒まれた相手に対して行うべきと考えます。

私は、フリーランス協会ツイッターアカウントによる、インボイス問題についての一連の発信について、

・誰がこの発信を行ったのか(発言主は誰なのか)

・どういった目的で

・どういった経緯で

・このような発信やコミュニケーション手法をするに至ったのか

ということに対しての「説明」を求めています。そして、見直して頂きたいと考えています。

フリーランス協会ツイッターアカウントによる、インボイス問題についての一連の発信についてブログを準備しているということですが、
もしブログ記事を書かれるのであれば、下記の点に対して、詳細な経緯と実態の説明を頂きたいと思います。

【1】参議院議員山田太郎氏のYoutubeで言われていることについてご説明を頂きたいと思います。

とありますが、こちらの方のツイートスレッドを見る限りでは、この方のご指摘の通りで、『フリーランス協会としてはインボイス制度賛成』 と明確に協会代表が言っているように取れます。

youtu.be

【2】また、同じく山田太郎氏のYoutube内で語られた、協会代表による下記の発言も、まさに多様な働き方を否定するもので、問題であるように思います。

私の主な取引先である出版業界では、出産や子育てをきっかけに企業を退社し、
もともと勤めていた会社と個人事業主として契約しなおし、単発の案件契約や業務委託契約で働く女性がかなり多いです。
キャリア断絶を防ぐため&家庭優先の働き方をするためなど、個々の理由があってフリーランスになった方に対して、
フリーランスをやったとするんだったら、税金が払える位の報酬があって、個人事業と初めて言えるのであって、そういうことを目指さなきゃいけない」と、
代表の平田麻莉氏の「個人的な価値観」で「一方的な決めつけ」を行うことは、フリーランス全員に対してかなり失礼であり、また傲慢な態度であると感じました。
この点についても、発言の根拠や目的、なぜそのような考えに至り、このような発言をしたのかについて、詳細な説明を求めます。

【3】今回、
A・「広報活動」に問題があって、こういった現状になっているのか、
B・それとも広報には問題がなく、平田麻莉氏の「個人的な価値観」=フリーランス協会の方針
であるからこういったことになっているのか、
A・Bどちらなのかを、明確化していただきたいと考えております。

【4】

すみません、追加で送らせていただきます。

税制調査会(第10回総会)議事録

https://www.cao.go.jp/zei-cho/content/4zen10kaigiji.pdf

こちらも読みましたが、
代表の平田氏は、「平田氏個人の感想・印象」を「私たち」=フリーランス と、かなり大きな主語で語ってしまっているように読めます。
これでは当然、普段フリーランスと付き合いのない業種の方には、
「『フリーランス協会』は『フリーランス』の『総意』をまとめ、フリーランスの代表として交渉しているのだ」と、
完全に誤認を招いてしまう態度のように感じました。

本来的には最初に「フリーランス協会はフリーランス全員を代表する団体ではなく、自分がこれから話すデータもあくまで当協会が調査した限りの、個人事業主全体の人数からすると、かなり少ない母集団を元にしたものである」との説明が必要であったように感じましたが、いかがでしょうか。

この点についても、経緯や、こういった態度で発言を行った理由を、詳細に説明頂きたく思います。
上記の税制調査会の発言と「当協会は社会の分断と対立を煽る対話には参加致しません。フリーランス間の分断を広げたくないからです。ご了承ください」の発言をあわせると、かなり問題がある行動・発言ではないでしょうか。
明瞭な説明を頂きたいと思います。

*ちなみに「税制調査会(第10回総会)議事録」で平田氏は「私たちの会員は6万6000人」と発言されていますが、これは厳密には「会員数」ではなく「フォロワー総数」であり、フォロワー総数=有料会員・無料会員・SNSフォロワーを足した数なので、「数を盛りすぎ」と感じます。
↓「フォロワー総数」の定義は下記「フリーランスの現状と課題について」(フリーランス協会)参照

https://blog.freelance-jp.org/wp-content/uploads/2022/05/20220428_rikkenminshu.pdf

2023/1/8現在、回答は来ておりません。
事務局対応は2023/1/10からなので、その後の対応を待ちたいと思います。

既に退会を検討中

が、正直なところ、既に退会を検討しています。
「こういった質問をしなければならない状態」というだけで、結構ゲンナリしてしまっていますし、こういった方たちに、お金を預けること自体に不安があります。

正直、既に今の段階で、回答が来る・ブログで納得が行く説明がされることも、期待していませんし、回答が来たとしても、口先だけかもしれない…と既に思ってしまっています。そのレベルの不信感を、フリーランス協会に対して、既に感じています。

このブログを書いたのも、「フリーランス協会がまたツイ消しをする前に、はてなブログに、ツイートの記録を残さないといけない!」という使命感からです。
はてなは、本人がツイートを消してもHTMLにツイートのテキストが残ります

しかし、私は、昨年12/25に会員資格を更新したばかり(ボンヤリしてたら引き落とされていた…)なので、1年間ゆっくり考えたいとも思っています。

4・フリーランス協会の代わりになりそうなサービス・団体はあるのか?

さっそく、賠償責任保険の代替サービスを探してみた

何かや誰かに不信感を抱いたとき、私はすぐに「次」を探してしまうタイプなのですが…
わたしはフリーランス協会は、賠償責任保険目当てで入っているだけで、他の会員特典は全く使用できておりません…たくさんありすぎて、使いきれません。
なので、他のサービスでもいいかなあと思い始めました。

候補は現状下記の2つだという認識ですが、私が感じた疑問点が解決されていないため、後日また調べて詳しく書きたいと思います。(別記事にするかも)

1・フリーナンス「フリーナンスあんしん補償」

freenance.netこちら、「フリーナンスあんしん補償」の適用条件がイマイチわかりません。
今後、詳しく質問してみようと思います。

(2022/1/21追記)フリーナンスは、無料プランでも、仕事中の事故や納品物の欠陥を原因とする事故や、業務遂行中、仕事の結果、偶然起きてしまった事故を補償する(最高5,000万円)損害賠償保険がついてくるみたいです。業務過誤の補償(著作権侵害とか、情報漏えいとか)は有料だけど…ちょっと口座開設が面倒みたいですが、無料で保険ついてくるのはすごい。↓これはアフィリエイトバナーです

2・日本イラストレーション協会「JILLAみんな保険」

jilla.or.jpこれはイラストレーション関連の職業の方しか入れませんが、JILLAに入ると、サイバー攻撃と賠償請求に備える「JILLAみんな保険」に自動加入になるみたいです。

jilla.or.jp

しかし…そもそも「賠償責任保険」は必要なのだろうか?

賠償責任保険を探していて、更に思考が深まり…
そもそもフリーランス、一個人対企業の契約で、賠償責任保険が必要になるような契約が必要なのだろうか…ということを考えはじめました。
イラストの仕事で、一方的に損害賠償責任を負わせるような契約は、そもそも有効なのでしょうか?

【検討事項1】私のような仕事で、本来必要な賠償責任金額はいくらくらいなのか?
【検討事項2】そもそもイラストの仕事では、相手の指示やチェックがあって描くものである。にもかかわらず、一方的に賠償責任を負わされるような契約がそもそも有効なのかどうか?

上記2点を調べる必要があるのでは?という気持ちになってきました。
そもそも、保険に入る必要がない可能性があるのでは…?

今後、上記の検討事項について、調べてみたいと思います。

続きを書きました

petitmatch.hatenablog.com

【2023/2/24】フリーランス協会の代わりになり得るサービスor団体を調べて書きました。

今後フリーランスになりたいと思っている方or今フリーランスで、賠償責任保険をお探しの方にも役に立つ記事かと思います。
具体的にはフリーランス協会・フリーナンス・JILLA(日本イラストレーション協会)の賠償責任保険を比較しています。国民健康保険組合の紹介も。

petitmatch.hatenablog.com