TOMOKO OOSUKI

イラストレーター オオスキトモコのブログです。

デジタル庁がnoteを使うのはなぜダメなのか

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【2021/6/23 最終更新】
【2021/5/18 記事タイトルを変えました】

先日、デジタル庁(準備中)のnoteがはじまりました。

note.digital.go.jp

私はこれを読み、noteは、デジタル庁が利用するツールとして、不適切なのではないかと思いました。
理由は以下の3点です。

1・noteはインターネットアーカイブに残らない仕組みになっているので、公的機関の発信手段として適さないのではないか。

2・会員登録しないとコメントができない仕組みは、note株式会社(以下、note社)への利益誘導に当たるのではないか。

3・note社は、あまりにも問題が多すぎる。官庁の情報を発信する媒体の運営会社として、全くふさわしくない。また、「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」というデジタル庁の精神とも反する。

以下、私がそう考える理由について、1つずつ詳しく解説していきます。

1・noteはインターネットアーカイブに残らない仕組みになっているので、公的機関の発信手段として適さないのではないか。

(1-1)noteは昨年のIPアドレス露出事件の影響で、アーカイブサービスに残らない

noteは、インターネット・アーカイブやweb魚拓等のアーカイブサービスに残らない仕組みになっています。
これは昨年のIPアドレス露出事件の際に、アーカイブサービスにもIPアドレスが残っていた ということがあり、それに対する対策として行われたものが、今も続いているためです。

*note社は自力ではアーカイブサービスへのIPアドレス記録を把握できておらず、無責任に「修正済み」などと発表。ユーザーからの指摘でようやく把握した。

一部の利用者のIPアドレスが記載されたページが「ウェブ魚拓」などの記録サービスに残っていたため、関係サービスと連携して削除を進めているとしている。なお、ウェブ魚拓の他に「Bing」「Wayback Machine」の3サービスについては全て削除されていることを確認しているという。

www.itmedia.co.jp

security.srad.jp
↓ちなみに、このIPアドレス露出事件に対するnote社の対応は、下記記事に詳しく書きました。

www.tomokooosuki.com

www.tomokooosuki.com

(1-2)国立国会図書館法に反するのでは?との指摘(私も最初、そう思ってました)

togetter.com↑このまとめの中に「note. digital .go.jpが一部のクローラを排除しているそうで、もしこれが国会図書館のクローラまで排除するようになると違法(国立国会図書館法第25条の3第2項)なので注意。」という高木浩光先生のツイートがあるのですが、私もそういう認識でした。なので、この1点だけでも、クローラ排除(=アーカイブサービスへの記録拒否)がデフォルトのnoteを利用することは不適切なのではないかと、「デジタル庁がnoteをはじめました」の一報を聞いたときに思いました。

しかも、調べたところ、東京都のnoteも、国会図書館にもインターネット・アーカイブにも収集されていませんでした。東京都も、デジタル庁も、国立国会図書館法第二十四条に定める、インターネット上で公開している資料の収集対象機関であるのに、収集を拒否しているというのは、国立国会図書館法上、おかしいのではないかと思いました。

(1-3)担当者によれば、アーカイブについては検討中で、保存はされているとのこと

(1-4)そもそも日本では、現状、電子媒体における「公文書」の定義や扱いが曖昧

最初、私は(1-2)のように考えていて、そもそもnoteが「仕様」として国会図書館のクローラを拒否していることから、デジタル庁がnoteを利用すること自体が違法なのではないか と考えていました。なので問題なのでは?と思っていました。
が、Twitter愛媛大学総合情報メディアセンター助教佐々木隆志先生から下記のようなご指摘を受け、考えを改めました。

 *NDL WARPというのは、「国立国会図書館インターネット資料収集保存事業」
のことです。NDL=国立国会図書館(National Diet Library) のことです。

warp.da.ndl.go.jp

*出版物は「納本制度」というものがあって国立国会図書館への納本が「義務」となっています。私は出版社勤務経験があり、実際に納本作業をやったことがあるので知っていました。

納本制度」とは、図書等の出版物をその国の責任ある公的機関に納入することを発行者等に義務づける制度のことです。わが国では、国立国会図書館法(昭和23年法律第5号)により、国内で発行されたすべての出版物を、国立国会図書館に納入することが義務づけられています。

www.ndl.go.jp

www.soumu.go.jp

 

つまり、公文書保存の視点で言えば、noteを使うことが悪いというわけではなく、そもそも日本では電子媒体における「公文書」の定義や扱いが決まってないという、驚くべきことがわかりました。というか裁判記録すらもちゃんと保存されていないとは、初めて知りました…勉強になりました。

上のまとめでも、公文書の定義と公文書管理の論点は高木先生も指摘していました。

しかしながら、現状では「デジタル庁noteは、『一般の国民が見られる形』では、どこにもアーカイブされていない」ことは変わりません。国民への情報公開の観点からは、いかがなものかと思います。
検討された結果「国会図書館インターネットアーカイブには記録させない」ということになるかもしれません。
デジタル庁の取材を担当する報道機関の方には「見たページはその都度スクショする」ことをおすすめします。

参考:日本では公文書の重要性への無理解があると言われている

役所の公文書管理をめぐる問題が後を絶ちません。不祥事が起きるたびに再発防止が言われてきましたが、問題はなくならず、財務省では文書の改ざんや廃棄まで行われていました。どうしてこのような扱いが? 背景には、公文書の重要性への無理解があると指摘されています。

役所の公文書管理をめぐる問題が後を絶ちません。不祥事が起きるたびに再発防止が言われてきましたが、問題はなくならず、財務省では文書の改ざんや廃棄まで行われていました。どうしてこのような扱いが? 背景には、公文書の重要性への無理解があると指摘されています。

www.asahi.com

2・noteに会員登録しないとコメントができない仕組みは、note社への利益誘導に当たるのではないか。

デジタル庁のnote記事に

noteに直接コメントいただくなり、記事のURLと共にTwitterでつぶやくなりしていただければ、すべての投稿をくまなく拝見します👁👁

note.digital.go.jp

とあったのですが、私はnoteは退会して、使いたくないので、直接デジタル庁のメールフォームから意見を送りました。

www.digital.go.jp

これでnoteの会員数を増やすのに寄与したくないので…というか、官庁が直接、こういった一企業の利益につながるようなことをするというのは、適法なのでしょうか。

ちなみに…note社の取締役CFOは元官僚(外務省)

https://jp.linkedin.com/in/yukihirokashima/ja

www.manegy.comもし今回の件が、この取締役(元官僚)のコネクションを使ってデジタル庁に営業して採用されたという場合、法的な問題はないのでしょうか?
デジタル庁による採用で、noteの会員数も増えると思うんですよね。
コメントする=国に意見を直接伝えるためにnoteに会員登録する必要があるように「一見」見えるからです。

noteへの会員登録には、個人情報管理の論点も

【2021/5/19追記】*WCAG=Web Content Accessibility Guidelines のこと。
アクセシビリティとは、「アクセスのしやすさ」のこと。
↓詳しくは、下記のウェブアクセシビリティ基盤委員会のページにて。

waic.jp

3・note社は、あまりにも問題が多すぎる。官庁の情報を発信する媒体の運営会社として、全くふさわしくない。また、「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」というデジタル庁の精神とも反する。

(3-1)noteはまともに運営されていない【2021/6/12追記】

昨年(2020年)秋〜今年(2021年)1月ごろ、私個人に対し、note上での著作権侵害など、何らかの被害を受けたnoteユーザーの方から、note株式会社の不適切な対応についての声が、続々と届いていました。

petitmatch.hatenablog.com

私は2020年4月に、note社CXOの深津貴之氏から、以前Twitter上で理不尽に絡まれ、恫喝された被害者です。
深津氏のnoteを読み、note社のイラストレーターの採用条件について違法性を感じたため、それをつぶやいたところ、直接リプライされたので、詳細を確認しただけなのですが、クレーマーのように扱われた上、延々と論点をずらされ、ごまかすような態度を取られた上に、最終的には逃げられました。
ユーザーとしても、一市民としても、極めて不快な「迷惑行為」と受け取りましたので、その際には、直接の面識があるnoteプロデューサーの徳力基彦さんに連絡して、対処していただき、社として謝罪を受けました。
↓その時のことをまとめたブログがこちらです。

petitmatch.hatenablog.com

また、以前、noteの問題点についてまとめたブログ記事を書きました。

petitmatch.hatenablog.com

おそらく上記のようなことを、ブログで公表していることから、私のところに連絡が来ていたのだろうと思います。
しかしながら、個別事例だと思いますので、被害者の方々には、弁護士、警察、消費者庁等への相談を勧めていました。
しかし、そもそもnote株式会社がきちんと対応していれば、私のところに連絡はこないはずです。私に相談してくる、クリエイターさんの精神状態も心配でした。

現在は、「相談先」をまとめた記事を書いたせいか、他のユーザーさんからの連絡は落ち着きました。
【2021/6/12追記】本日また、noteユーザーさんから、note運営事務局への不満のメールが、私のところに届きました。こんな状態がいつまで続くのか…petitmatch.hatenablog.com

しかし、果たして、ユーザーからの苦情、しかも自社運営プラットフォーム上での違法行為が疑われる事象に関する問い合わせについて、「他の個人ユーザー」に相談せざるを得ない精神状態に陥るような、不適切な対応を取る企業が運営するサービスが、デジタル庁が情報発信するツールとして、適切なのでしょうか。

私は今まで、日本のWEBサービスを使っていて、「全く面識のない他のユーザーさんから問い合わせが来た」というのは、本当に全く初めてです。
普通、「楽天市場」を使っていて、楽天の他のユーザーさんから「楽天の対応がひどい、助けてください」という連絡が、個人の方から個人あてに来るでしょうか?
noteで私が体験したことは、こういうことです。

(3-2)運営会社が不誠実すぎる

ちなみにnote社の「発表」は、基本的には「こうだったらいいな」レベルのものであり、全くあてになりません。数字も「独自基準」です。何しろ、「事故報告」を、後日こっそり書き換えるような会社です。

petitmatch.hatenablog.com

petitmatch.hatenablog.com

上記の「問題点まとめ」は昨年の12月に書いたものですが、今年に入っても、note社の問題行為は止まらず、今年分のまとめも作りました。

petitmatch.hatenablog.com

(3-3)note社の極めて不誠実な体制は、「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」というデジタル庁の精神とも反する

また、note社のこういった極めて不誠実な体制は、「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」というデジタル庁の精神とも反するように思います。

www.digital.go.jp

私は、デジタル庁というのは、むしろnoteに代表されるような、問題があるプラットフォームサービスに対する取締りや指導も「省庁の壁を超えて」行ってくれるのだろう、と思っていたので、本当に驚愕しました。

また、私は、昨年のnoteのIPアドレス露出問題の対応に納得がいかず、消費者庁個人情報保護委員会に相談しました。
その際、消費者庁には「特商法の運用に問題がある」、個人情報保護委員会には「ユーザーには落ち度がないので、使わないのが一番の対策」と言われました。

noteは、中央官庁から「そういった評価」を受けているのだと認識していたので、まさかデジタル庁が情報発信の媒体として採用するとは、考えもしませんでした。
このことが既に、「縦割り行政」の弊害を身を持って示しており、さっそくデジタル庁の課題を示しているのではないでしょうか。
ぜひ、note株式会社の問題点について、横串で共有していただき、被害者の救済につなげていただきたいです。

余談:では、どうすればよかったのか

私は、デジタル庁が情報発信を行うこと、「取り組むプロジェクトや法案の解説、想い、気付きなどを発信」すること自体は、いいことだと思っています。

デジタル庁に対しては、期待していますし、「叩いている」つもりはありません。ただ、noteを利用することが不適切だと感じています。
高木先生の指摘にもあるように、go.jpを利用するのであれば、運営主体や個人データ管理体制が不明瞭な「note」を利用すべきではないと考えます。

このように「何をやっても叩かれる」というような発信をされている官僚の方がいらっしゃいますが、これは、デジタル庁のnoteに対して、意見や考えを書いている人の思いを打ち砕くような、国民を愚弄するような発言だと思います。日々の業務でお疲れなのかもしれませんが、それにしても、ちょっとこれはないだろうと思いました。
「叩いている」と感じるのは自由ですが、多くの人は、単純に不適切だと思うことに対し、自分の意見を述べているだけだと思います。少なくとも私はそうです。

それはさておき、対案です。
素人考えで恐縮ですが、例えばですが「はてなブログmedia」

hatenablog.comに、サブディレクトリオプションをつけてhttps://www.digital.go.jp/blog/
等にして運用する というのでは、なぜダメだったのでしょうか。このほうがサイトにも統一感が出ますし、サイトの信頼性も向上し、SEO的にも有利だと思うのですが…


または、はてなでなくても、何らかのCMSサービスを利用し、コメント欄にはユーザーローカルの「AIコメントシステム」などを設置すればよかったのではないかと思います。

comment.userlocal.jp

あとは、記事更新自体はnote以外なら何でもいいので、Yahooニュース、スマートニュース、グノシー等のニュースアグリゲータサービスに対して、「デジタル庁」のチャンネル開設をお願いするとかですね。

ちなみに、noteはそこまでユーザー数も多くない上、成長率が高いサービスでもないです。
ユーザー数も、はてなの3分の1しかありませんし、はてなのほうがまだユーザー数は伸びています。
↓下記記事の「参考:noteとはてなのユーザー数・月間ユニークブラウザ数比較」参照

petitmatch.hatenablog.com

上記のように、問題が多発している上に、ユーザー数も少なく、成長率も低い、運営会社の体制も改善がまるで見られない、とにかく将来性がなく、一般的なネットユーザーが何かネット上の事件が起きると「またnoteか」と思わず思ってしまうような、印象も極めて悪い「note」を、なぜ今「あえて」選んだのか、正直、理解に苦しみます。

「なぜnote?」というのは他の方も指摘していることなので、今後、選定理由についての説明がされることを期待します。
アクセシビリティについては、次回のnoteで説明がされるようです。


「行政の透明化」を掲げるという、デジタル庁の担当者には、note社の加藤社長のような「自分語り」でなく、国民が納得できる、明瞭な説明をお願いしたいと思います。

【2021/06/23追記】明瞭な説明どころか、なんと2回目は長文自己満ポエムでした。
おそらく今の政治・行政とnoteの特徴「信者とお仲間ビジネス」って相性がいいんだろうな…という話を書きました。本当に絶望しかないですが、報道機関に期待です。

petitmatch.hatenablog.com