TOMOKO OOSUKI

イラストレーター オオスキトモコのブログです。

ドキュメンタリー「北園現代史」がかなり面白かった

きのう、Youtubeで、「北園現代史」というドキュメンタリーを見ました。

youtu.beこれは、東京都立北園高校の現役高校生が制作したドキュメンタリーです。
「自由な校風」と言われている北園高校が、実はそうではないのでは?という話を、実際の生徒指導の映像や、生徒、保護者、OBへの取材によって問う という内容になっています。

感想を一言で言うと、めちゃくちゃ面白かったです。面白かったと言っては語弊がありますが、なんか、製作者の言いたいこととか、パワーがムンムンと伝わってくる内容で、圧倒的に感動しました。
とにかく「北園の現状を伝えなければ…」という熱意にあふれており、再現ドラマとかもあってウケました。あの部分、果たして再現ドラマにする必要あったんか?と見ながら思ってたけど、なんか「伝えたい」という一生懸命さはよくわかった。

なぜこの作品に興味を持ったかというと…私は熊本県出身で、熊本では「自由」な校風と言われている、熊本学園大学付属高校というところの出身です。小・中学は公立ですが、小・中・高を通じて、あまり校則が厳しい学校に行ったことがないので、最近のニュースでよく見かける「ブラック校則」のニュースや、また東京の公立高校では「地毛証明書」を出さなければならないという話を聞き、最近の学校はどうなってんねんと、驚愕するとともに、心配していました。

また、これは校風が「自由」とされている学校に行った人あるあるだと思うのですが、
「『自由』ってなんだろう」ということを、在学中にものすごく考えるようになります。私自身も、すごく考えていました。当時何を考えていたかはスッカリ忘れてしまったんですが…

私自身が高校で経験した「自由」というか、生徒による学校生活環境の改善は、在学中に生徒会で校則を2つ変えたことです。

【改善1】体育のあとの授業中は、飲み物を飲みながら授業を受けても良いことにした
→これは校則には書いてなかったのですが、体育のあとの授業でポカリかなんかを飲んでいた生徒がいて、先生に怒られた ということがありました。
それに対し「運動後には水分の補給が必要なのに、授業中だからといって水分補給をしてはいけないというのはおかしい。そもそも、それを禁止するならば、なぜ体育館の横に飲み物の自販機が設置されているのか。あれを見たら飲みたくなってしまう。体育のあとに水分補給を行うことは、生徒の体調管理の面でも、業者の売上を考えても、誰にもデメリットはないはずである。体育のあとの授業では自販機でジュース等を買って飲めるようにしたい」ということを主張し、生徒会に議題として出した生徒がいて、賛成多数で可決された。

【改善2】冬のコートは、学校指定のコート以外のものを着ても良いことにした
→当時、学校指定の冬のコート(女子)がダサいと言われており、コートを着ない生徒が多かった。また男子には冬のコートが存在しなかったので、寒さを感じる男子は学ランの内側に重ね着を行っていた。それをおかしいと思った生徒がやはり生徒会に議題を提出し、コートを完全自由にした。
*私は学校指定のコートはむしろ可愛いと思っていたので、普通に着てましたが、このように「選択肢がある」ということが重要だと思います。あと学ランの下にタートルネック着る男子の重ね着、好きだったな〜

そういったことができる感じだったので、校則も制服もあったのですが、嫌だと思ったら変えればいいんだな
と思っていたので、あんまり気にしなかった というのもあると思います。
頭髪検査など見た目に対する「検査」なども、全く受けたことがありませんでした。

それだけに、この「北園現代史」に出てくる先生の理不尽な態度には、衝撃を受けました。生徒会の安達くんが先生に対して言っている「髪染め」の話はあくまで象徴にすぎず、髪染めを理由なく禁止するということがまかり通ってしまうことの危険性を安達くんは恐れているのだと思いました。
というか、あまりにも大人の態度としてひどく、ショックを受けました。

その一方で、「公立高校における伝統」というのは何なのか というのも考えされられました。
私は私学出身なので、私学において「伝統」があって、それを生徒や先生、OBが大切にする というのは、理屈としても、感覚的・体験的にもよく理解できます。
しかし、あくまで各自治体の教育委員会が管轄している公立学校における「伝統」というのは、一体どうやって守られることが適切なのか、そもそも守られるべきなのか?そもそも公立学校における「伝統」とは?というのは、難しい問題だと思いました。

私は公立高校のことよく知らないんですけど、転勤で先生も異動するわけですよね?先生の入れ替わりが頻繁にあって、当然生徒も3年で完全に入れ替わるなかでの「伝統」とは…?

「北園現代史」を見ていて、特に後半で感じたのは、こういうのは「東京の公立高校」の話だな〜〜ということです。北園高校が「自由」を大切にする学校になったのは、旧制府立中学時代に強い軍国主義的教育を行っていたことへの反省、ということだったのですが、そういうのってすごく「東京」っぽい話だなと思いました。
熊本の公立高校には「自由」売りの学校なんてないし、伝統といえば「藩校としての伝統」なんだろうなと…笑

「北園現代史」を見たあと、「自由」を売りにしていた我が母校は今どうなっているのだろう…と少し心配になり、検索してみたところ、今のところまだ「自由」みたいでよかったです。というか眩しくて灰になりそうになった。

www.youtube.com

www.minkou.jp
それはともかく「北園現代史」は面白いので、皆さんぜひ見てみてください。

youtu.be