現在のnote株式会社は、2016年のDeNAの「WELQ問題」(キュレーションメディア問題・まとめサイト問題)と、同じ流れをたどっているなと思いました。
note株式会社のほうが、かなり事業スケールが小さいですが、流れとしては非常に似ているな〜 と思ったので、メモレベルではありますが、書いておくことにしました。
【2022/9/17 最終更新】
- 1・「プラットフォーム」を運営し、「ユーザー生成コンテンツ」によって、怪しげな情報があふれ、著作権侵害等の犯罪行為の拠点となった
- 2・トラブル発生時や、被害者からのクレームに対しては、無責任かつ不適切な対応
- 3・ネットで「運営メディアのコンテンツの内容」についての違法性・問題点を指摘される
- 余談:note、cakesのサービス自体に対する、私自身の今の印象
- 【その後】cakes、サービス終了を発表(2022/5/25)
- 関連記事
以下、共通点
1・「プラットフォーム」を運営し、「ユーザー生成コンテンツ」によって、怪しげな情報があふれ、著作権侵害等の犯罪行為の拠点となった
DeNAの場合、DeNA側の指示で、組織的に、違法性の高いコンテンツが作成されており、問題となりました。
noteの場合は、note社自体の指示で記事作成が行われているわけではないですが、記事を「身元を隠して」有料で販売できることから、かなり悪質な情報商材が存在するようです。
著作権侵害については、昨年の「ラティーナ問題」は、なんと出版社による、かなり大規模な著作権侵害事例でした。 また、金銭トラブルも発生しています。
noteの上記の事例については、↓の記事にまとめてあります。
【2022/5/25 追記】その後、“反コロナワクチン”情報を拡散する起点になっている問題が発生(2021年7月13日)
www.buzzfeed.com↓詳しくは下記リンク先記事の「8・“反コロナワクチン”情報を拡散する起点になっている問題(2021年7月13日)」参照
2・トラブル発生時や、被害者からのクレームに対しては、無責任かつ不適切な対応
これは過去のDeNA・今のnote株式会社に共通しています。
DeNAのMERYにおいては、著作権侵害の被害者は、MERYへの無断転載が問題化する以前から対応を求めていたにも関わらず、ひどい扱いを受けていたといいます。
note株式会社は、昨年のIPアドレス露出問題においては、事実と反する発表を行い、当然ですがすぐに問題点を指摘され撤回、その後、事故報告noteをこっそり書き換えていた ということがありました。
↓下記記事の「1・IPアドレス漏洩、本当は何が漏れているのかわからない問題」を参照
また、note株式会社の加藤社長は、ユーザー間トラブルに対しても、起きている事実自体を無視するような発言を行っています。
【2021/5/5 追記】noteは著作権侵害に対して、他社と比較しても極めて対応が悪い
noteは、著作権侵害に対しても、他のブログサービスと比較して、極めて対応が良くないようです。こちらのブログでも、noteの対応の悪さが指摘されています。
noteにおける著作権侵害への対応の悪さについては、私は複数の著作権者の方から同様の情報を聞いています。
note 運営へのお問合せ
郵送での書類提出が必要で手続きが面倒
メールやお問い合わせフォームから著作権侵害を通報してもほぼ返信がない。2、3回催促してようやく3週間後に返答が来るほどの対応の悪さ。クリエイター向けのサービスで利用規約にも著作権侵害は規約違反と謳っているのに対応は悪い。
【2022/5/25 追記】2022年、「note運営からひどい行為を受けた」被害報告、再び相次ぐ
今年に入っても、私のところには複数人から被害報告がありました。
noteを利用していて、何らかの被害にあった場合、note運営事務局がそれに対し不適切な対応を取る場合には、まずは証拠を取ることを勧めています。
3・ネットで「運営メディアのコンテンツの内容」についての違法性・問題点を指摘される
DeNAの場合は、「専門家の監修を行う」と発表した4日後、バズフィードジャパンのスクープがあり、サイト閉鎖に至っています。
www.itmedia.co.jp
WELQは、医療の専門知識を持たないライターが書いた記事を大量に掲載していた医療情報サイト。「内容が不正確だ」と批判を浴びていたほか、薬機法(旧薬事法)違反とみられる記事やほかサイトからの無断転載も多数あり、10月下旬ごろから“炎上”状態になっていた。DeNAは11月25日、専門家による記事の監修を順次行うと発表したが批判はおさまらず、29日に全記事を非公開にした。
note社の場合は、cakes連載の内容が問題となり、
「専門家と対談し現在のDV問題について学ぶ連載企画」を行っていたにもかかわらず、炎上を繰り返してしまいました。
以下、DeNAキュレーションメディア事業の場合の流れ
--------------
4・新聞・TVなどでも大きな問題になる。
5・サイト閉鎖
6・第三者委員会による調査
7・キュレーションメディア事業は実質的に終了
jp.techcrunch.com
8・被害者対応へ
参考:小学館と合弁で再開したMERYも、今年実質的に終了
markezine.jp
--------------
被害者対応は、常に後回しです。
DeNAは、サイト閉鎖から約4年半後の現在でも、まだ被害者への対応・補償を行っています。
note株式会社の場合、DeNAと違って、経営も赤字であり、他に事業もなく、人的リソースも乏しいため、仮にこの先、note内部で著作権侵害や違法行為、他の問題が明らかになった場合でも、かつてのDeNAのような対応や補償が可能かどうかは、極めて疑わしいと思われます。
note/cakesとDeNAキュレーションメディアは、単純に比較ができるものでもないですが、同じ「プラットフォーム」として運営されているサイトとして見た場合、私の印象では、非常に近い流れをたどっているなと感じました。
余談:note、cakesのサービス自体に対する、私自身の今の印象
私としては、cakesのコンテンツ内容については、WELQほどには悪質なものではないと思っています。幡野さんの人生相談についても、たしかに批判されるべきもので、せめて編集のほうで相談先リストを付けるとかできたんじゃないの?とは思うものの、表現の自由の範囲ではないかと考えています。
しかしながら、今回の無断記事削除にも見られるように、cakesというメディアにおいては、あまりにも作家へのリスペクトが感じられません。好きな作家さんもいますし、私自身も出版社経由でコンテンツを提供しているので、「なぜ問題を起こした作家が守られ続けて、他の作家が切られたり制限を受けなければならないのか。売上にも影響している」という、cakes連載作家さんの怒りも理解できます。
↓cakesが炎上したことによる、cakes連載作家への影響はこちらから
「cakes連載が打ち切りになる作家も【2021/4/29追記】」
noteは、WEBサービスとしてIPアドレス露出事件の際の対応に不安が払拭できず、また広報の不誠実さに極めて強い怒りを覚え、退会しました。
また、note株式会社は「クリエイターファースト」を謳っていますが、全くそうではなく、むしろ逆だと感じています。
コンテンツビジネス・クリエイティブ職に従事する者として、note株式会社がやっているような作家に対する態度や扱いが「クリエイターを大切にしている状態」だと一般的に思われてしまうのは、非常に困りますし、この「雑な扱い」が「アリ」として社会に広まってしまうことは、全クリエイティブ職への営業妨害とすら感じています。
クリエイターへのリスペクトが感じられないのは、cakes・note共通です。
詳しくは昨年、下記リンクに書きました。
petitmatch.hatenablog.com
さてcakes、noteは、今後、果たしてこの先、事業として存続できるでしょうか?
連休明けには、なにか発表があると思うので、いまのうちに書いておきます。
幡野広志さんの記事について、多くのご意見をいただいています。現在、幡野さんや専門家の方々と対話を続けており、方針が決まり次第お知らせいたします。
— cakes(ケイクス) (@cakes_PR) 2021年4月29日
他のクリエイターのみなさまの作品紹介を中断しておりましたが、こちらは再開させていただきます。
これはさらに完全に余談ですが、
一方で、なぜnote株式会社のような会社が生まれ、昨年半ばくらいまでは盛り上がっていたのか
という点については、「note/cakes的なるもの」というのは、常見陽平氏が言うところの「才能にリスペクトしない社会。ものをつくる人、言う人を雑に扱う社会。」への適応行動なのではないか
www.yo-hey.comという仮説を立てているのですが、まだ思索が深まっていないので、またの機会に。